STORY

 

   黙ってちゃ、ダメだ――。
   霧のなかから 青空のほうへ
   傷痕のない 世界がほしい


「なんであのとき、ちゃんと言えなかったんだろう……」


 俳優志望の斉藤乃愛(山口まゆ)は、かつてある映画監督からの性暴力被害に遭っていたが、弁護士の兄・俊太(細田善彦)からの助言もあり、過去の自分のトラウマを誰にも打ち明けられずにいた。
 しかし、親友のミュージシャン志望・東佳代(川床明日香)から、佳代が音楽ユニットを組む西友梨奈(北村優衣)の性被害の相談を受けたことをきっかけに、乃愛は友梨奈とともに「ブルーイマジン」に移り住むことを決意する。
 巣鴨三千代(松林うらら)が相談役を務める「ブルーイマジン」は、さまざまな性被害やDV、ハラスメントなどに悩む女性たちの駆け込み寺として機能するシェアハウスだった。フィリピンからやってきたジェシカ(イアナ・ベルナルデス)やアイリーン(ステファニー・アリアン)をはじめ、「ブルーイマジン」に集まる個性あふれる人々と助け合いながら、乃愛と友梨奈は自らの過去の傷を癒し、佳代は性被害者への寄り添い方を学ぼうとするのだった。
 ある日、乃愛は「ブルーイマジン」へ相談に来た女優志望の真木凛(新谷ゆづみ)を通じて、かつて乃愛に性暴力を振るった映画監督・田川実(品田 誠)が、何人もの俳優志望者たちにも同様の行為をしてきた事実を知る。
 乃愛は、「ブルーイマジン」の人々と連帯し、力を合わせて声をあげる決意をする。新聞社への取材申し込み、ブログ記事での拡散……世間からも乃愛たちの声は、少しずつ注目されはじめる。
 しかし、旧態依然とした映画業界は簡単には変わらない。田川の新作映画も、何事もなく公開されようとしていた……業を煮やす乃愛。
 いっぽうそのころ、佳代と新曲作りに勤しんでいた友梨奈はある晩、自らの心の葛藤を込めたこんな自作の歌詞を、ひとり口ずさむのだった。
彼女たちに、かすかな希望の灯りがともる未来は、やってくるのだろうか――?



 霧のなか何処へ 哀しみはつづく
 夜空にも届かぬ 今は私だけ……